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円背(猫背)…脊柱後弯

疼痛による姿勢異常

姿勢異常は、筋・筋膜性の疼痛、変形性脊椎症、椎間板症、脊椎の骨粗鬆症(椎体骨折、変形)、肋間神経痛、ヘルペス(帯状疱疹)などの体幹部の疼痛が原因で起こる他に、下肢の疼痛が原因となる場合もある。体幹部の疼痛を避けるために、腰や背の前屈あるいは側屈姿勢をとることによる疼痛性円背や側弯症が起こることがある。異常姿勢が続くと背腰部、殿部、下肢の緊張が起こり、筋の疼痛をきたし、さらに悪化しやすくなる。

脊柱の変形による姿勢異常

脊柱変形とは、脊柱のS字状の生理的弯曲に異常をきたし、前弯や後弯の増強または減少、あるいは側方への弯曲を起こすものをいう。弯曲の方向により、後弯症、前弯症、側弯症に分類される。側弯症は凸側への椎骨の回旋を伴う。なお、弯曲部の動きやすさを可撓性といい、脊柱の運動性の制限による動きの悪さを「不撓性」という。たとえば脊椎の動き(可撓性)が悪い場合を不撓性プラス(+)とする。

姿勢の分類

姿勢は、良性姿勢、不良姿勢、病的姿勢などに分類される。脊柱の変形は、姿勢の面から円背、扁平背、凹背、凹円背(胸椎後弯と腰椎前弯の増強)、亀背、側弯症などに分類される。亀背は突背ともいわれ、脊椎カリエスの際にしばしばみられ、数個の胸椎が限局性に突出したものである。
円背(脊柱後弯)とは、胸椎の後弯の増強したものである。先天性のもの、クル病性のもの、脊椎の骨粗鬆症、変形性脊椎症によるもののほか、靭帯、筋等の脊柱支持組織の機能不全によるものなどがある。
脊柱は能動的には筋の緊張によって支持されているので、筋の発育状態および姿勢との関係が深い。すなわち、背筋の老人性弱化による円背(老人性円背:変形性脊椎症を伴う)、不適当な机や椅子での背中をまるめての学習や仕事あるいは背中を曲げての坐業による背筋の弱化により、円背が起こることがある(姿勢性後弯)。したがって、このような円背には正しい姿勢の保持とともに背筋力をつけるための筋力トレーニングが必要である。

円背の直接原因が胸椎椎体の圧迫骨折の際には強い疼痛が出現するが、骨折時の疼痛が消退した後も、立位でいると背部の重だるい鈍痛や圧痛を訴えるようになる。この場合の疼痛や圧痛は背筋の疲労によって出現していることが多い。変形性脊椎症も合併してくると、椎間関節の変形・不安定性に基づく局所痛や放散痛、椎間孔狭小による神経根刺激による放散痛や知覚異常、脊髄刺激による脊髄症状としての疼痛、知覚異常、運動障害、膀胱・直腸障害等を伴うことがある。

脊柱後弯の病態

椎体が圧迫骨折をして潰れると前方が薄くなるので、椎体の潰れが数個に及ぶと後弯して円背を呈してくる。円背では、立位や座位を続けると背腰部の疼痛を訴える。高齢者では、通常は背筋も委縮してくるが、円背になると萎縮した背筋(傍脊柱筋)が引き伸ばされた状態で持続的収縮を強制され、筋ポンプ作用が低下して筋血流が減少し、筋疲労(疲労物質蓄積、発痛物質出現)をきたして筋の知覚過敏や疼痛を生じるためと考えられる。痛みは重だるい痛みや鈍痛である。背筋の収縮が起こらない姿勢である臥位では、症状は軽減あるいは消退する。

脊柱後弯の治療

(a)カイロプラクティック、整体、はり灸、骨盤矯正、ストレッチ等
(b)重要なのは、生活指導である。カルシウムや蛋白質の摂取を心掛け、毎日適度な運動を行うよう指導する。ビタミンDの活性化には紫外線が必要であり、少なくとも30分程度の散歩を行わせるのがよい。

骨粗鬆症<osteoporosis>

骨粗鬆*1症とは骨量の減少と骨微細構造の変化のために、骨がもろくなって骨折しやすくなった病態である。原発性*2のものと続発性*3のものに分けられるほか、骨軟化症などの類似疾患を鑑別する必要があるために、診断基準が作られている。

*1粗鬆(そしょう):粗も鬆も「すかすかであらい」という意味でしっかり中身の詰まった「緊」の反対。
*2原発性:ある疾患が他の疾患によって引き起こされることなく、その疾患として独立して発生する場合に「原発性」という。反対語は続発性。
*3続発性:ある疾患が他の疾患の結果として引き続き発生してくるような場合に「続発性」という。

骨粗鬆症の疾患概念

骨は骨基質と呼ばれるコラーゲンなどの蛋白質を主体とした成分に、骨塩と呼ばれるミネラル成分が沈着(石灰化)して形成されている。骨形成と骨吸収は、常にバランスを保って行われ、一定の骨量が保たれている。石灰化の障害によって骨が弱くなる疾患が、くる病と骨軟化症であり、形成される骨の質に異常はないが、骨形成の低下あるいは骨吸収の亢進によって骨の量が減少して骨がもろくなる疾患が骨粗鬆症である。

骨代謝に関連する種々のホルモンや代謝物の異常や環境の変化は骨粗鬆症を引き起こし、これを続発性骨粗鬆症という。続発性骨粗鬆症の代表的な原因は、甲状腺機能亢進症、性腺機能不全、クッシングCushing症候群などの内分泌疾患、ステロイド剤の投与、床上安静やギプス固定などの不動化、先天的に骨基質の主成分であるコラーゲンの合成障害がある骨形成不全症、関節リウマチや糖尿病などの疾患である。
このような原因がなくて起こる骨粗鬆症を原発性骨粗鬆症と呼び、閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症を含む退行期骨粗鬆症と、原因不明で若い世代に起こる特発性骨粗鬆症(妊娠後骨粗鬆症など)に分けられる。

もっとも頻度が高いのは、閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症であり、閉経後の女性と高齢者に起こり、やせ型の女性に多い。2013年(平成25)年の調査によれば、高齢者の寝たきりの原因は、脳卒中(34.5%)、認知症(23.7%)、老衰(8.7%)、骨折・転倒(7.6%)の順であり、骨折・転倒は第4位を占める。骨折・転倒の主な原因は退行期骨粗鬆症であるので、骨粗鬆症の予防あるいは早期治療の重要性が指摘されている。

骨粗鬆症の症状

徐々に骨が弱くなる疾患なので明確な症状はなく、腰背部の重い感じや腰背部痛、易疲労感などがみられる。骨折を起こすはずのない軽微な外傷で骨折を起こし(脆弱性骨折)、この骨折上腕骨外科頸骨折などの頻度が高い。

骨粗鬆症の診断

診断は、骨代謝学会による原発性骨粗鬆症の診断基準によって行われる。
(a)X線撮影:画像診断は単純X線写真(胸椎2方向、腰椎2方向)が最も重要であり、腰背部痛を生じる他疾患、とくに転移性脊柱腫瘍の鑑別に有用である。椎体の骨折は急に起こったものは打撲や転落、しりもちをついたなどの受傷機転が問診で得られる。また、当該部の脊椎棘突起に叩打痛を認めれば新鮮な椎体骨折であることがわかる。陳旧性の椎体圧迫骨折ではいつ起こったのかもわからないことが多い。身体所見では身長の短縮、円背(ねこ背)、亀背(脊椎の棘突起が腰部で亀の背のように突出)などで推定できる。

(b)骨量測定:骨量計測は定性的診断に比べ、微妙な骨量減少をとらえることが可能であり、再現性も高い。その方法は一般のX線撮影装置を使うものやCTスキャンを利用したものなど数種類がある。

(c))血液生化学検査:骨粗鬆症では、血清カルシウム・リン濃度には異常をみとめず、アルカリホスフォターゼ(ALP)も、ときには高値を示す例がみられるが、多くの場合正常であることが特色である。

骨粗鬆症の治療

骨折予防

(a)カイロプラクティック、整体、はり灸、骨盤矯正、ストレッチ等
(b)骨折防止の薬物療法:エストロゲン、ビタミンD、ビスフォスフォネートに椎体圧迫骨折の発生率を低下させる効果が確認されている。
(c)運動療法:体操、歩行など運動による不動性骨粗鬆症の防止。
(d)食事療法:カルシウムの多い小魚、乳製品、補助食品によってカルシウム摂取不良を避ける。
(e)転倒防止:運動療法による筋力、関節可動域、平衡感覚の維持、杖や歩行器具の使用。バリアフリー化へ向けた住宅改造。
(f)転倒時の大腿骨頸部骨折予防:大転子部を保護するヒッププロテクターの装着。
(g)禁煙:喫煙は骨折の危険性を増す。


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